外壁と屋根の同時塗装|費用とメリットを解説
目次
外壁と屋根を同時に塗装すると、共通してかかる足場代を一度にまとめられるため、別々に施工するより総額を抑えやすくなります。足場代は総額の2割前後を占める大きな費目なので、劣化のタイミングが近い場合は同時施工が合理的です。ただし外壁と屋根で劣化の進み方が違うこともあり、両方の状態を点検したうえで判断するのが基本です。
外壁塗装と屋根塗装は、どちらも足場を必要とします。同時に行うことで足場代を一本化でき、コスト面のメリットが生まれます。一方で、外壁と屋根は劣化のタイミングが必ずしも一致しないため、「とにかくまとめれば得」とは限りません。この記事では、同時塗装の具体的なメリットと費用の目安、別々に施工した場合との比較、そして気をつけたい点を整理し、同時にするかどうかを落ち着いて判断できるように解説します。
なぜ足場を共用できるとお得なのか
同時塗装の最大のポイントは「足場代」にあります。まず、外壁塗装の費用が何にいくらかかっているのかを、下の図で確認してみましょう。
図のとおり、足場は建物の外周に組むため面積が大きく、総額の中でも比較的大きな割合を占めます。一般に足場代は総額の2割前後とされる大きな費目です。この足場は、外壁を塗るときにも屋根を塗るときにも必要になります。
つまり、外壁と屋根を別々のタイミングで頼むと、足場を2回架けることになり、その分の費用が2回かかります。一方、同時に施工すれば足場は1回で済み、共用できる分の費用を節約できます。これが「外壁と屋根の同時塗装はお得」と言われる仕組みです。節約できる金額は建物の規模によりますが、決して小さくありません。
同時塗装のメリット
足場代の節約以外にも、まとめて施工することには次のような利点があります。
- 足場代を一度にまとめられる:もっとも大きなメリットです。別々に頼むと足場を2回架けることになりますが、同時なら1回で済み、その分の費用を節約できます。
- 工事期間・立ち会いの手間が一度で済む:塗装工事の間は近隣への配慮や在宅の調整が必要になることがあります。同時施工なら、こうした負担をまとめて一度で済ませられます。
- 家全体の見た目が整う:外壁と屋根を同じタイミングで塗り替えると、家全体の色や質感がそろい、仕上がりに統一感が出ます。
- 将来の塗り替え計画を立てやすい:外壁と屋根の塗り替え時期をそろえておくと、次回以降もまとめて計画でき、長期的なメンテナンスの見通しが立てやすくなります。
特に足場代の節約効果と、工事の手間を一度で済ませられる点が、同時塗装が選ばれる主な理由です。
同時塗装の費用目安
同時塗装の費用は、外壁塗装費に屋根塗装費を加え、そこから重複する足場代を差し引いたイメージになります。まずは、外壁と屋根をあわせて足場を共有した場合の試算例を見てみましょう。
築15年・32坪・外壁+屋根・シリコンの例
- 前提条件
- 築15年
- 32坪・2階建て
- サイディング外壁
- 外壁+屋根
- シリコン塗料
- 症状:チョーキング
総額の目安
107万円〜153万円中央値 130万円
主な費目
- 外壁塗装費29万円〜41万円
- 屋根塗装費18万円〜24万円
- シーリング打替え16万円〜21万円
※ 料金マスタに基づく概算です。建物形状・立地・下地の状態により実際の金額は変動します。 正確な費用は複数社の現地調査見積でご確認ください。
比較のために、同じ条件で外壁のみを塗装した場合の試算も見ておきます。屋根を含めると総額は上がりますが、足場を共有できるため、外壁と屋根を別々に頼むよりは割安になります。
築15年・32坪・外壁のみ・シリコンの例(比較用)
- 前提条件
- 築15年
- 32坪・2階建て
- サイディング外壁
- 外壁のみ
- シリコン塗料
- 症状:チョーキング
総額の目安
83万円〜120万円中央値 102万円
主な費目
- 外壁塗装費29万円〜41万円
- シーリング打替え16万円〜21万円
- 足場13万円〜18万円
※ 料金マスタに基づく概算です。建物形状・立地・下地の状態により実際の金額は変動します。 正確な費用は複数社の現地調査見積でご確認ください。
具体的な金額は、坪数・屋根の形状・屋根材の種類・塗料グレードによって変わります。たとえばスレート屋根と金属屋根では適した塗料が異なり、費用にも差が出ます。正確な総額は現地調査を経て決まるため、まずは無料のシミュレーターで外壁と屋根を含めた目安を確認し、そのうえで見積もりを取ると比較しやすくなります。費用の決まり方をより詳しく知りたい場合は、外壁塗装の費用相場|坪数・塗料別の目安と内訳もあわせてご覧ください。
別々に施工した場合との比較
同時施工と別々施工の違いを、費用と手間の観点で整理すると次のようになります。
表のとおり、同時施工は「外壁と屋根の劣化時期が近い」ときに最も効果を発揮します。逆に、片方だけが先に傷んでいる場合は、別々に施工するほうが結果的に無駄がないこともあります。判断の分かれ目は、次の注意点にあります。
注意点(劣化タイミングの違い)
同時塗装は合理的な選択ですが、いくつか気をつけたい点もあります。
もっとも大きいのが、外壁と屋根で劣化のタイミングが必ずしも一致しないことです。屋根は日差しや雨風を直接受けるため、外壁より早く傷むことがあります。逆に、外壁だけ先に劣化が進んでいるケースもあります。片方がまだ塗り替えを必要としない状態なのに、無理にそろえて同時に塗ると、かえって早めの出費になってしまうこともあります。
「まとめれば必ず得」とは限りません。節約できる足場代と、まだ使える塗膜を早めに塗り替えるコストを天秤にかけて考えると判断しやすくなります。営業トークで同時施工を強くすすめられても、両方の状態を確認するまでは即決を避け、いったん持ち帰って検討する姿勢が大切です。
判断のポイントは、両方の劣化状況を点検してもらったうえで、時期が近いかどうかを確かめることです。屋根は自分では状態を確認しにくい場所なので、外壁の塗り替えを検討するタイミングで、あわせて屋根も点検してもらうとよいでしょう。両方とも塗り替え時期が近ければ、同時施工のメリットを活かせます。時期が離れている場合は、それぞれの適切なタイミングで塗るほうが結果的に無駄がないこともあります。外壁側の塗り替え時期の目安については、築15年の外壁塗装|タイミングの目安と費用も参考になります。
屋根材による塗料と判断
屋根塗装の費用や必要性は、屋根材の種類によっても変わります。代表的な屋根材ごとの傾向を押さえておくと、見積もりの内容を理解しやすくなります。
- スレート(化粧スレート):もっとも普及している屋根材で、塗装によるメンテナンスが一般的です。経年で色あせやコケが出やすく、塗り替えの対象になりやすいタイプです。
- 金属屋根(ガルバリウムなど):軽量でサビ対策が重要になります。塗装ではサビ止めを含めた下地処理が加わることがあります。
- セメント瓦・モニエル瓦:塗装でメンテナンスするタイプで、表面の塗膜が劣化すると塗り替えを検討します。
- 粘土瓦(和瓦・陶器瓦):瓦自体は塗装を必要としないことが多く、この場合は屋根の同時塗装の対象にならないこともあります。
自宅の屋根材が分からない場合でも、現地調査で確認してもらえます。粘土瓦のように塗装が不要なケースもあるため、「屋根も塗れば必ずお得」と決めつけず、まずは屋根の種類と状態を確認することが大切です。
同時塗装が向くケース・向かないケース
ここまでを踏まえると、同時塗装の判断は次のように整理できます。
- 向いているケース:外壁と屋根の劣化時期が近い/どちらもそろそろ塗り替えの目安に達している/長く住み続ける予定で、次回もまとめて計画したい。
- 慎重に考えたいケース:片方だけ大きく劣化している/屋根が塗装を必要としない材質(粘土瓦など)/近く住み替えや建て替えの予定がある。
いずれの場合も、判断の前提になるのは「外壁・屋根それぞれの現在の状態」です。年数や営業提案だけで決めず、点検で状態を把握してから考えると、納得のいく選択がしやすくなります。
見積書で確認するポイント
同時塗装の見積もりを取る際は、外壁・屋根・足場・付帯部の費用が項目ごとに分かれているかを確認しましょう。内訳が明示されていれば、同時施工による足場代の節約効果も読み取れます。
- 足場が1回分で計上されているか:同時施工なら足場は1回分です。屋根と外壁で二重に計上されていないかを確認します。
- 屋根の塗料名・塗り回数が具体的か:屋根も下塗り・中塗り・上塗りが基本です。塗料の製品名や塗り回数が記載されているかを見ます。
- 屋根の面積が明記されているか:平方メートル単位の数量があると、単価との掛け算で妥当性を確認できます。
- 付帯部・タスペーサー等の記載:スレート屋根では縁切り(塗料で塞がった隙間を確保する処理)の有無も確認しておくと安心です。
複数社の見積もりを並べて比べると、各社の考え方が見えてきます。総額だけでなく、費目・工程・数量まで踏み込んで比較することが、適正価格を見極める近道です。相見積もりの具体的な進め方は、外壁塗装の相見積もりのマナーと進め方にまとめています。
まとめ
外壁と屋根の同時塗装は、共通する足場代を一度にまとめられる点が最大のメリットです。足場代は総額の2割前後を占める大きな費目なので、劣化のタイミングが近い場合は同時施工が合理的です。一方で、外壁と屋根は劣化の進み方が違うこともあり、片方がまだ使える状態なら無理にそろえる必要はありません。屋根材によっては塗装が不要なこともあります。まずは外壁・屋根それぞれの状態を点検で把握し、時期が近いかどうかを確かめたうえで、内訳の明確な見積もりを複数社で比較して判断しましょう。
本記事について(編集方針と免責)
本記事は、ヌリドコ編集部が塗料メーカーの公開情報・当サイトの料金マスタ・公的機関の資料などをもとに作成しています。記事中の金額はいずれも概算であり、実際の費用は建物の形状・立地・屋根材・外壁材・劣化状況・施工業者によって変動します。図解や試算例の数値は料金マスタから自動算出したものですが、正確な費用は必ず複数社の現地調査見積もりでご確認ください。屋根材ごとの塗装要否や塗料の耐用年数など条件によって変わる情報は一般的な目安として記載しており、個別の適用可否については各メーカー・施工業者の最新情報をご確認ください。
よくある質問
Q外壁と屋根を同時に塗装するとお得ですか?
足場代は外壁塗装でも屋根塗装でも必要になり、総額の2割前後を占めます。同時施工なら足場を1回で済ませられるため、別々に行うより総額を抑えやすくなります。ただし劣化時期が近い場合に限りメリットを活かせます。
Q外壁と屋根の同時塗装はいくらぐらいかかりますか?
坪数・屋根の形状・屋根材・塗料グレードで大きく変わります。32坪・外壁+屋根・シリコンなどの条件でおおよその目安を試算できますが、正確な総額は現地調査で確定します。記事内の試算例を参考にしてください。
Q外壁だけ先に劣化している場合も同時に塗るべきですか?
片方がまだ塗り替えを必要としない状態なら、無理にそろえるとかえって早めの出費になることがあります。両方の劣化状況を点検してもらい、時期が近いかどうかを確かめてから判断するのがおすすめです。